この記事では
iDeCoって何?
どんなメリットやデメリットがあるの?
という方向けに、iDeCoについて解説していきます。
iDeCoは老後の資金作りのための国の制度
iDeCoは、個人型確定拠出年金という国が老後資金づくりのために用意した年金制度です。
- 年間60,000円~816,000円を積み立て
- 積み立てした掛金で資産運用が可能
- 資産運用で利益が出れば掛金以上のお金を受け取れる
という制度です。
3つメリットと3つデメリットがあります。
- 掛金が節税対象になる
- 運用益に税金がかからない
- 税金が少なくなるように受取方法を選択できる
- 口座運営管理料・手数料が必要
- 原則60歳まで引き出せない
- 加入条件や掛金の上限がある
iDeCoのメリットは3つの節税効果
iDeCoには3つの節税効果があります。
節税とは、収める税金を少なくする合法的な手段です。
メリット1:掛金が節税対象になる
仕事で稼いだお金(所得)に応じ、所得税、住民税という税金を収める必要があります。
所得税・住民税の計算イメージ
所得税・住民税 =
[ 所得(円) - 控除額(円)] × 所得税・住民税の税率(%)
iDeCoの掛金は、所得税・住民税の控除額にすることができるため、収める税金を少なくすることができます。
なお、控除とは、差し引くことを意味する言葉です。
税金控除が適用されると、課税対象額が減ったり、税金そのものが減ったりします。
iDeCo所得税・住民税の節税額を計算してみよう
- 節税効果は概算です。他の所得控除の適用状況により、節税額は人によって異なります
- 計算結果には、次の控除額を含め計算しています
- 会社員・公務員:基礎控除、給与所得控除、社会保険料控除
- 自営業:課税所得の入力となるため、各種控除は考慮していません
- 専業主婦・主夫:所得税の効果を算出しないため、各種控除は考慮していません
- 所得税、平成27年以降の所得税の税率にしたがい計算しています
- 住民税は、一律10%で計算しています
- 社会保険料控除は、2018年9月分からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表をもとに、一律15%で計算しています
メリット2:運用益に税金がかからない
通常、資産運用で利益を得ると、利益に対して20.315%を税金として収める必要があります。
資産運用で100万円の利益を得た場合の計算イメージ
100万円(配当所得・譲渡所得) × 20.315% = 20万3,150円
iDeCoの場合は、資産運用で得た利益に対して、非課税になる節税効果があります。
メリット3:税金が少なくなるように受取方法を選択できる
iDeCoの受取方法は2種類あり、それぞれの受取方法によって適用される税金控除を活用し、節税することが可能です。
受取方法 | 適用できる税金控除 |
---|---|
いっぺんにもらう「一時金」 | 退職所得控除 |
5年~20年でもらう「年金」 | 公的年金等控除 |
なお、2種類の受取方法を併用することもできます。
受取方法を組み合わせて、節税効果を高めたり、工夫することが可能です。
退職所得控除額と公的年金等控除額は、勤続年数や所得に応じて、控除額が異なるので、自分にあった受け取りプランを考える必要があります。
退職所得控除額の計算式
勤務年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円 × 勤続年数 |
20年超 | 800万円 + 70万円 × ( 勤続年数 - 20年 ) |
公的年金等控除(年金以外の所得が1,000万円以下)
年金収入の合計 | 公的年金等控除額 |
---|---|
130万円未満(65歳未満のみ) | 60万円 |
330万円未満(65歳以上のみ) | 110万円 |
130万円(または330万円)以上410万円未満 | 収入額×25%+27.5万円 |
410万円以上770万円未満 | 収入額×15%+68.5万円 |
770万円以上1,000万円未満 | 収入額×25%+145.5万円 |
1,000万円以上 | 195.5万円 |
iDeCoのデメリット
3つの節税メリットがあるiDeCoですが、反面3つのデメリットがあります。
デメリット1:口座運営管理料・手数料が必要
iDeCoでは、各種手数料が必要です。
手数料は、「国民年金連合会」と「運営管理機関・事務委託先金融機関」から請求され、積み立てしたお金から引き落としされます。
国民年金基金連合会の手数料
種類 | 手数料 | 発生条件 |
---|---|---|
加入・移換時手数料 | 2,849円 | iDeCo加入時または移管時に初回1回のみ発生 |
加入者手数料 | 105円 | 掛金の積み立てごとに発生 |
還付手数料 | 1,048円 | 限度額を超えた掛金・加入資格のない月の掛金の返却時に発生 |
運営管理機関・事務委託先金融機関の手数料
種類 | 発生条件 |
---|---|
加入・移換時手数料 | iDeCo加入時または移管時に初回1回のみ発生 |
加入者手数料 | 掛金の積み立てごとに発生 |
還付手数料 | 限度額を超えた掛金・加入資格のない月の掛金の返却時に発生 |
運営管理手数料 | 口座運営中に発生 |
給付手数料 | 掛金の引き出しごとに発生 |
信託報酬 | 金融資産の保留期間中に発生 |
移管手数料 | 他の運営管理機関または企業確定拠出年金の移管時に発生 |
国民年金基金連合会の手数料は、決まった金額が請求されます。
一方で、運営管理機関・事務委託先金融機関の手数料は、機関によって設定された金額が異なります。
何十年と手数料を支払うこととなるので、なるべく手数料の安い運営管理機関・事務委託先金融機関を選ぶことがベストです。
デメリット2:原則60歳まで引き出せない
原則、60歳まで引き落とすことができません。
また、少なくともiDeCo開始から5年の経過期間が必要となり、加入時期が60歳手前の場合は、65歳まで引き出すことができません。
デメリット3:加入条件や掛金の上限がある
iDeCoは、主に職業によって加入条件や掛金の上限が異なります。
自営業は、月68,000円(年間816,000円)が上限
自営業は、20歳以上60歳未満の方が対象となり、月68,000円(年間816,000円)まで積み立てできます。
- 国民年金保険料を免除されている人は加入できません(障害による免除は除きます)
ただし、国民年金基金に加入している場合は、国民年金基金の掛金がiDeCoの上限額から差し引かれます。
主婦は、月23,000円(年間276,000円)が上限
年収130万円未満の主婦(主夫)などは、20歳以上60歳未満の方が対象となり、月23,000円(年間276,000円)まで積み立てできます。
公務員は、月12,000円(年間144,000円)が上限
公務員は、60歳未満の方が対象となり、月12,000円(年間144,000円)まで積み立てできます。
会社員は、月23,000円(年間27,600円)が上限
会社員は、60歳未満の方が対象となり、月12,000円(年間144,000円)まで積み立てできます。
ただし、別に企業年金制度に加入している場合は、上限額が異なります。
加入している年金制度 | 月額 | 年額 |
---|---|---|
企業年金 | 12,000円 | 144,000円 |
企業型確定拠出年金 | 20,000円 | 240,000円 |
企業年金+企業型確定拠出年金 | 12,000円 | 144,000円 |
まとめ:ライフプランに応じてiDeCoをうまく活用しよう
iDeCoには、節税効果が3つもあるお得な年金制度です。
ただし、節税効果が期待できる一方で、制約が生じてしまうデメリットがあります。
なるべく事前にライフプランを検討して、うまく活用すれば、豊かな老後を暮らすための資金準備に役立つことでしょう。